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2025/10/21 公開

冬山登山の持ち物完全ガイド【初心者向けチェックリスト】

冬山登山の持ち物完全ガイド【初心者向けチェックリスト】
「冬の澄んだ空気のなか、真っ白な雪景色を見てみたい」 「夏とは違う、静かで美しい山を歩いてみたい」
春夏秋3シーズンの登山に慣れてくると、そんな風に冬山登山に憧れを抱く方も多いのではないでしょうか。しかし、冬山は夏山とは全く異なる厳しい環境です。寒さ、雪、氷への備えがなければ、低体温症や滑落といった命に関わるリスクに直結します。
だからこそ、正しい知識を持って、適切な持ち物・装備を準備することが何よりも重要です。
この記事では、冬山登山に初めて挑戦するあなたのために、必要な持ち物を網羅したチェックリストから、服装の選び方、専門装備の使い方まで、徹底的に解説します。この記事を読めば、冬山登山の準備に関する不安が解消され、安全に絶景を楽しむための第一歩を踏み出せるはずです。

冬山登山の持ち物チェックリスト
冬山登山の持ち物チェックリスト

まずは、冬山登山に必要な持ち物を一覧で確認しましょう。抜け漏れがないように、準備の際にぜひ活用してください。各アイテムの詳細は後の章で詳しく解説します。

【必須装備】雪山三種の神器

・アイゼン
・ピッケル
・スノーシューorワカン(積雪量による)

【服装】ウェア・レイヤリング

・ベースレイヤー(化学繊維 or ウール)
・ミドルレイヤー(フリース、ダウンなど)
・アウターレイヤー(ハードシェルジャケット&パンツ)
・冬山用パンツ(保温材入り or インナータイツと併用)
・予備の着替え(ベースレイヤー、靴下など)

【基本装備】登山靴・ザック

・冬山用登山靴(保温材入り・アイゼン対応)
・バックパック(ザック)
・ザックカバー

【小物】アクセサリー・便利グッズ

・グローブ(インナーとアウターの2種類)
・ニット帽 or バラクラバ(目出し帽)
・ネックゲイター
・冬山用登山靴下(厚手のウール素材)
・スパッツ(ゲイター)
・サングラス
・ゴーグル
・日焼け止め
・リップクリーム

【安全装備】エマージェンシーキット

・ヘッドライトと予備電池
・地図とコンパス
・GPS(スマートフォンアプリも可)
・モバイルバッテリー
・救急セット(ファーストエイドキット)
・ツェルト or エマージェンシーシート
・アバランチギア(ビーコン、ショベル、プローブ)※雪崩リスクのある山域の場合

【食料・飲料】行動食・魔法瓶

・魔法瓶(サーモス)に入れた温かい飲み物
・凍りにくい行動食(ナッツ、ジェル、羊羹など)
・非常食

冬山登山に適した服装とレイヤリング
冬山登山に適した服装とレイヤリング

冬山登山では「いかに汗をかかずに体温を維持するか」が最も重要です。そのために欠かせないのが「レイヤリング(重ね着)」という考え方です。

基本は3層の重ね着(レイヤリング)

レイヤリングとは、機能の異なるウェアを3層に重ね着することで、体温調節を効率的に行うための服装術です。汗による体の冷え(汗冷え)を防ぎ、低体温症のリスクを大幅に減らすことができます。

ベースレイヤー(肌着)

■役割
肌に直接触れる層で、汗を素早く吸い取り、肌面をドライに保つ「吸湿速乾性」が最も重要です。汗冷えを防ぐための土台となる、非常に大切なウェアです。
■選び方
素材は、速乾性に優れたポリエステルなどの化学繊維か、保温性と吸湿性に優れたメリノウールを選びましょう。汗が乾きにくく体を冷やす原因となる綿(コットン)素材は絶対にNGです。

ミドルレイヤー(中間着)

■役割
ベースレイヤーが吸い上げた汗を外に逃がしつつ、体温で温められた空気の層を作って保温する「断熱・保温」の役割を担います。
■選び方
フリースや化繊インサレーション(中綿)ジャケットが一般的です。保温性が高く濡れにも強いのが特徴です。休憩時などには、さらに保温性の高いダウンジャケットを上から羽織ることもあります。

アウターレイヤー(防寒防水着)

■役割
一番外側に着る層で、雪や風、雨から体を守る「防風・防水・透湿性」が求められます。内側の湿気を外に逃がす透湿性も、蒸れを防ぐために重要です。
■選び方
ゴアテックスに代表される防水透湿素材を使用した「ハードシェル」と呼ばれるジャケットとパンツが最適です。脇の下に体温調節用のジッパー(ベンチレーション)が付いているモデルが便利です。

冬山用パンツ・ズボンの選び方

冬山用のパンツも、アウターレイヤーと同様に防風・防水・透湿性が重要です。 選択肢は主に2つあります。
■保温材入りの冬山用パンツ
1枚で暖かく、動きやすいのがメリットです。
■ハードシェルパンツ+保温タイツ
ベースレイヤーとして保温性の高いタイツを履き、その上にハードシェルパンツを履くスタイルです。温度調節がしやすく、多くの登山者に選ばれています。

小物で防寒対策(グローブ・帽子・靴下)

体の末端は冷えやすいため、小物を使った防寒対策が非常に重要です。
■グローブ
操作性の良いインナーグローブと、防水・防寒性に優れたアウターグローブを重ねて使うのが基本です。予備も必ず持っていきましょう。
■帽子
保温性の高いニット帽は必須です。風が強い時や吹雪の時には、顔全体を覆えるバラクラバ(目出し帽)があると安心です。
■靴下
厚手で保温性に優れたウール素材の冬山用靴下を選びましょう。汗や雪で濡れた時用に、必ず予備を1足持っていくことが大切です。

雪山三種の神器と必須専門装備
雪山三種の神器と必須専門装備

雪と氷の世界を安全に歩くためには、夏山にはない専門的な装備が不可欠です。特に「アイゼン」「ピッケル」「スノーシュー(ワカン)」は雪山三種の神器と呼ばれ、命を守るための必須アイテムです。

アイゼン

アイゼンとは、凍った道や雪面で滑らないように、登山靴の裏に装着する金属製の爪のことです。
■軽アイゼン(4本爪・6本爪)
主に夏の雪渓歩きや、傾斜の緩い凍結路で使用します。本格的な雪山登山には不向きです。
■10本爪・12本爪アイゼン
本格的な雪山登山で最も一般的に使われるタイプです。雪面や氷の斜面をしっかりと捉え、安定した歩行を可能にします。初心者が最初に選ぶべきなのはこのタイプです。

ピッケル

ピッケルとは、雪の斜面を登る際のバランス保持や、滑落してしまった際に停止するための杖状の道具です。
■役割
急な斜面で杖のように使って体を支えたり、滑落した際に雪面に突き刺してブレーキをかけたり(滑落停止)します。
■選び方
長さは、ピッケルをまっすぐ持った時に、先端(石突き)がくるぶしのあたりにくるのが目安です。自分の身長に合ったものを選びましょう。

スノーシューとワカン

深い雪の上を沈まずに歩くための道具が、スノーシューとワカン(輪かんじき)です。
■スノーシュー
浮力が大きく、新雪や深い雪の上を歩くのに非常に効果的です。平坦地や緩やかな斜面に適しています。
■ワカン
スノーシューより小型で軽く、急な斜面や狭い場所での取り回しに優れています。日本の山林など、アップダウンの多い地形に向いています。

どちらを選ぶかは、行く山の地形や積雪状況によって決まります。初心者は、比較的扱いやすいスノーシューから始めるのがおすすめです。

ザックや靴など基本装備と便利グッズ
ザックや靴など基本装備と便利グッズ

服装や専門装備以外にも、冬山ならではの視点で選ぶべき基本装備や、快適性を高める便利グッズがあります。

冬山用登山靴

冬山では足の冷えが凍傷に直結するため、靴選びは非常に重要です。
■保温材入りであること
靴の内部に断熱材が入っており、低温下でも足の温度を保ってくれます。
■防水性が高いこと
雪や氷が溶けても靴の中に水が染み込まないよう、ゴアテックスなどの防水素材が使われているものが必須です。
■アイゼンに対応していること
10本爪以上のアイゼンをしっかりと装着できるモデルを選びましょう。靴の硬さや、かかとに「コバ」と呼ばれる溝があるかどうかがポイントになります。

バックパック(ザック)の容量目安

冬山は防寒着や専門装備、温かい飲み物など、夏山よりも荷物が多くなります。そのため、ザックも一回り大きいサイズが必要です。
■日帰り登山
30L〜45L程度が目安です。
■山小屋泊
50L以上あると安心です。

荷物が外付けにならないよう、全ての装備が中に収まるサイズを選びましょう。

サングラスとゴーグルの使い分け

雪面からの太陽光の照り返しは非常に強く、雪目(ゆきめ)という目の日焼けを引き起こす危険があります。目を保護するためにサングラスやゴーグルは必須です。
■サングラス
晴天時や曇りの日に使用します。紫外線カット率の高い、レンズの色が濃いものを選びましょう。
■ゴーグル
吹雪いている時や風が強い時に使用します。顔にフィットして雪や風の侵入を防ぎ、視界を確保してくれます。

魔法瓶(サーモス)とおすすめの行動食

寒い冬山では、温かい飲み物が体を内側から温め、心身をリフレッシュさせてくれます。 必ず魔法瓶(サーモス)にお湯や温かいお茶などを入れていきましょう。
行動食は、低温でも凍りにくく、グローブをしたままでも食べやすいものがおすすめです。
・ナッツ類
・ドライフルーツ
・チョコレート
・エナジーバー、ジェル
・羊羹

ヘッドライトと予備電池の重要性

冬は日照時間が短く、日が暮れるのが早いため、ヘッドライトは万が一に備えたお守りではなく、必須装備です。必ず出発前に点灯確認をし、予備の電池も忘れずに持っていきましょう。
低温下では電池の消耗が早まるため注意が必要です。

【レベル別】持ち物・装備の違い
【レベル別】持ち物・装備の違い

一口に「冬山」と言っても、雪のない低山から本格的な雪山までレベルは様々です。自分の行く山の状況に合わせて装備を調整しましょう。

雪のない冬の低山・ハイキングの服装と装備

雪や氷がない冬の低山やハイキングでは、アイゼンやピッケルなどの専門装備は不要です。ただし、防寒対策と汗冷え対策は雪山と同様に重要です。
■服装
基本のレイヤリング(ベース、ミドル、アウター)を徹底しましょう。特に休憩中は体が冷えやすいので、すぐに羽織れるダウンジャケットなどがあると便利です。
■持ち物
温かい飲み物を入れた魔法瓶、ニット帽、グローブは必須です。落ち葉で滑りやすい場所もあるため、トレッキングポールがあると安心です。

日帰り雪山登山(初心者向け)の装備

初心者が最初に挑戦するような、比較的傾斜が緩やかでアプローチの短い日帰り雪山では、基本的な雪山装備一式が必要です。
■必須装備
10本爪または12本爪アイゼン、ピッケル、冬山用登山靴、レイヤリングウェア一式、防寒小物、ヘッドライト、魔法瓶など、この記事で紹介した基本的な装備は全て揃えましょう。
■あると良い装備
積雪量が多い場合はスノーシューがあると楽に行動できます。

本格的な厳冬期・縦走登山の装備

森林限界を超える高山や、数日間にわたる縦走登山では、さらに厳しい気象条件に対応するための装備が求められます。
■追加装備
テント泊の場合は冬山用テントや寝袋、より保温力の高いウェアが必要です。また、雪崩のリスクが高いエリアでは、アバランチギア(ビーコン、ショベル、プローブ)の携帯と、それらを使いこなすための訓練が必須となります。これらは上級者の領域であり、初心者はまず経験者と同行することから始めましょう。

まとめ
まとめ

冬山登山は、厳しい自然環境に立ち向かうための入念な準備が不可欠です。しかし、その準備をしっかりと行えば、夏山では決して見ることのできない、静かで荘厳な絶景に出会うことができます。
この記事で紹介した持ち物と知識を参考に、あなたの冬山登山デビューを成功させてください。