2025年6月21日は夏至。一年で最も昼が長いこの日、日本では伝統的な風習が各地に残っています。伊勢の二見興玉神社での夏至祭や、夏越しの禊など、清らかな風習を体験してみませんか?
また、冬瓜、タコ、焼き餅など、地域ごとの夏至に食べるものもご紹介。世界に目を向ければ、イギリスのストーンヘンジをはじめ、様々な夏至祭が開催されています。この記事で、日本の風習と世界の夏至祭を巡る旅に出かけましょう。
夏至の意味と日本の伝統風習

一年で最も昼の長さが長くなるのが夏至です。
地球の地軸が公転面に対して約23.4度傾いていることが理由で、太陽の光が最も長く当たる日が発生します。北半球では夏至の頃に太陽が最も高い位置を通過し、日照時間が最大になります。
なお、2025年の夏至は6月21日です。この日は、日の出から日の入りまでの時間が一年で最も長くなります。
具体的に何時間何分になるかは地域によって異なりますが、東京では14時間以上、北海道では15時間以上となることもあります。
夏至は単に昼が長いだけでなく、古くから様々な文化や風習と結びついてきました。太陽の恵みを最大限に享受する日として、世界各地で独自の祭りや儀式が行われています。
三重県伊勢市の二見興玉神社では、夫婦岩の間から昇る朝日を拝む神事が行われ、夏至の日の出は特に神聖視されています。
また、半年間の穢れを祓う「夏越の禊」も、夏至の頃に行われる代表的な風習です。これらの風習を通して、人々は自然への感謝と無病息災を祈ります。
三重県伊勢市の二見興玉神社と夏至
三重県伊勢市にある二見興玉神社は、夫婦岩で知られる神社であり、夏至の頃には夫婦岩の間から朝日が昇る神秘的な光景が見られます。
二見興玉神社は、猿田彦大神をお祀りしており、古くから禊の場として知られています。夫婦岩は、その沖合にある興玉神石を拝むための鳥居の役割を果たしています。夏至の頃、日の出の位置が夫婦岩の間になるため、特別な信仰を集めています。
<夫婦岩と夏至>
・禊のシンボル
・夫婦円満の象徴
・縁結びの神様
この夫婦岩は、単なる景勝地ではなく、禊のシンボルであり、夫婦円満や縁結びの神様としても信仰されています。夏至の時期には、多くの人々がこの神秘的な光景を求めて二見興玉神社を訪れます。
夫婦岩の間から昇る朝日を拝むことで、心身を清め、新たな力を得ることができると信じられています。 二見興玉神社と夏至の日の出は、日本の美しい自然と伝統が織りなす、特別な風景でまさに神々しいの一言です。
夏越しの禊
夏越しの禊とは、半年間の罪や穢れを祓い清める神事です。
これは、日々の生活で知らず知らずのうちに溜まってしまった心身の穢れを祓い、清らかな状態に戻ることを目的としています。
<夏越しの禊の種類>
・茅の輪くぐり
・形代流し
茅の輪くぐりは、茅(かや)で作られた大きな輪をくぐることで、罪や穢れを祓います。
形代流しは、人の形に切った紙に自分の名前や年齢を書き、それで体を撫でて穢れを移し、川や海に流すことで、災厄を祓うものです。これらの行事を通して、心身を清め、残りの半年を健やかに過ごせるように祈ります。
夏至に食べるもの

地域によって様々な特色があります。冬瓜やタコのように全国的に知られるものから、新小麦の焼き餅、無花果の田楽など、特定の地域で親しまれているものまで様々です。
魚介類では焼き鯖や若鮎の塩焼き、ミョウガなどが食されることもあります。
また、水無月や半夏生餅、うどんなど、夏至の時期ならではの和菓子や麺類を食べる地域もあります。それぞれの地域で、旬の食材や伝統的な食文化が反映されたものが食べられているのが特徴です。
全国的には冬瓜
夏至に冬瓜を食べる風習は、全国的に見られます。
冬瓜は、夏に収穫される瓜の仲間で、独特の風味と豊富な栄養価が特徴です。夏至の時期に冬瓜を食べる理由は、暑い夏を乗り切るための知恵にあります。
<冬瓜の効果>
・体を冷ます
・利尿作用を促す
・夏バテ防止
・便秘解消
・美肌効果
冬瓜は水分が多く、カリウムを豊富に含んでいるため、体を冷やし、利尿作用を促進する効果が期待できます。また、ビタミンCや食物繊維も含まれており、夏バテ防止にも役立ちます。これらの理由から、夏至の時期に冬瓜を食べることで、暑さをしのぎ、健康を維持しようという願いが込められています。
関西ではタコが有名
夏至に関西地方でタコを食べる風習があるのは、タコの多産にあやかり豊作を願うためです。
タコは足が8本あり、その姿から「八」に通じるとされ、縁起が良いとされています。また、タコは繁殖力が強く、一度にたくさんの卵を産むことから、豊作や子孫繁栄の象徴とされてきました。
<タコを食べる理由>
・豊作祈願
・縁起が良い
・栄養豊富
タコを食べることで、これらの縁起を担ぎ、夏の暑さに負けない体を作るという意味も込められています。夏至の日にタコを食べる風習は、関西地方の独特な食文化として根付いています。
関東では新小麦の焼き餅
関東では、夏至の時期に新小麦を使った焼き餅を食べる風習があります。
これは、その年に収穫されたばかりの小麦を使って作られた餅を食べることで、収穫の恵みに感謝し、無病息災を願う意味合いがあります。
新小麦は風味が豊かで、焼くことで香ばしさが増し、食欲をそそります。地域によっては、醤油や砂糖で甘辛く味付けしたり、きな粉をまぶしたりするなど、様々な食べ方があるようです。
このように、旬の食材を食べることで季節の変わり目を意識し、健康を願う食文化は、日本各地に根付いています。
愛知県尾張地区では無花果の田楽
愛知県尾張地区では、夏至に無花果の田楽を食べる風習があります。
無花果の田楽を食べる理由は、夏至の頃に旬を迎える無花果を味わうことで、夏の暑さを乗り切るための栄養を補給するためです。
<無花果の栄養>
・食物繊維
・カリウム
・カルシウム
・ビタミン
これらの栄養素は、夏バテ防止や疲労回復に効果的です。無花果の甘みと田楽味噌の塩味が絶妙に調和し、食欲をそそります。尾張地区の人々は、無花果の田楽を食べることで、夏の健康を願うのです。
福井県では焼き鯖
福井県では夏至に焼き鯖を食べる風習があります。
これは、夏至の頃に獲れる鯖が特に美味しく、栄養価も高いためです。
<焼き鯖を食べる理由>
・栄養満点
・魔除けの意味
・漁獲量の増加
・夏バテ防止
焼き鯖を食べることで、無病息災を願うとともに、夏の暑さを乗り切るための栄養補給をする意味合いがあります。福井県では、夏至の時期になるとスーパーや鮮魚店で焼き鯖が並び、家庭で食卓を囲む光景が見られます。
三重県ではミョウガ
ミョウガは三重県で夏至の頃に食される習慣があります。
これは、夏至の時期に旬を迎えるミョウガに、体を冷やす効果や食欲を増進させる効果が期待できるからです。夏至の頃は気温や湿度が高く、体力を消耗しやすいため、ミョウガを食べることで夏バテを防ぐ意味合いもあります。
<ミョウガの効能>
・疲労回復
・食欲増進
・消化促進
・血液サラサラ
・殺菌効果
これらの効果から、暑い夏を乗り切るための知恵として、三重県ではミョウガを食べる習慣が根付いたと考えられます。
滋賀県では若鮎の塩焼き
滋賀県では、夏至の頃に獲れる若鮎を塩焼きにして食べる風習があります。
夏至は、一年で最も昼の時間が長い日であり、この時期に旬を迎える若鮎は、滋賀県の食文化において特別な意味を持っています。琵琶湖を擁する滋賀県では、古くから鮎が身近な食材であり、初夏の味覚として親しまれてきました。
若鮎は、その名の通り、まだ小さく、骨も柔らかいため、丸ごと食べられます。塩焼きにすることで、鮎本来の香りとほのかな苦みが引き立ち、滋賀県民にとっては夏の訪れを感じさせる風物詩となっています。特に、琵琶湖産の天然の若鮎は、その希少性からも珍重されています。
<若鮎の魅力>
・上品な味わい
・独特の香り
・滋養強壮効果
・夏の風物詩
・地域文化の象徴
このように、滋賀県では夏至の時期に、旬の若鮎を塩焼きにして味わうことで、自然の恵みに感謝し、季節の移り変わりを楽しむ風習が残っています。
京都府では水無月
京都府では、夏至の頃に「水無月」という和菓子を食べる習慣があります。水無月は、氷を模した三角形の白い外郎(ういろう)生地に、魔除けの意味を持つ小豆を散らしたお菓子です。
<水無月の由来>
・氷室の氷を食す
・形を氷に模す
・小豆で魔除け
もともとは宮中で夏至の頃に氷室(ひむろ)の氷を食し、暑気払いをする習慣がありました。しかし、庶民には氷は貴重品であったため、氷の代わりに似た形のお菓子を食べるようになったと言われています。
水無月の三角形は氷の角を、小豆は魔除けの意味を表しています。夏を無事に過ごせるようにとの願いが込められた、京都ならではの風習です。
奈良県、和歌山県、大阪府河内地方では半夏生餅
半夏生餅は、奈良県、和歌山県、大阪府河内地方で夏至の頃に食べられる風習です。
半夏生とは、夏至から数えて11日目にあたる日のことで、農作業を終えて休息する期間とされてきました。この時期に、地域によっては様々な行事食が食べられます。
<半夏生餅の特徴>
・白いお餅
・きな粉をまぶす
・あんこ入りもある
・地域によって形が異なる
これらの餅は、田植えが終わった労をねぎらい、無病息災を願って食べられてきました。地域によって形や味に違いがあり、それぞれの家庭や地域で受け継がれてきた大切な食文化です。
香川県ではうどん
香川県では、夏至の時期にうどんを食べる習慣があります。
これは、田植えが終わった農家が、うどんを打って労をねぎらったことが始まりと言われています。
<うどんを食べる理由>
・農作業の労をねぎらう
・半夏生うどんを食べる
・夏の暑さを乗り切る
農作業が終わった時期にうどんを食べることで、夏の暑さを乗り切るための栄養補給の意味もあったようです。また、半夏生(はんげしょう)の頃にうどんを食べるという風習が、夏至とうどんを結びつけたとも考えられています。
夏至の時期にうどんを食べることで、農作業の疲れを癒し、夏の暑さを乗り切ろうとしていたのです。
世界の夏至の様々な風習

世界各地には、夏至を祝う様々な風習が根付いています。
・イギリスのストーンヘンジでは、太陽崇拝の儀式が行われる。
・ドイツでは、焚き火を囲んで踊り、夏の到来を祝う。
・ギリシャでは、かがり火を焚き、健康を願う。
・北欧では、白夜の下で踊り明かすミッドサマー祭りが盛大に行われる。
・ブラジルでは、冬至祭りが開催され、盛大なパレードや音楽が楽しまれる。
このように、夏至の祝い方は国や地域によって様々です。それぞれの祭りの詳細については、以下で詳しくご紹介します。
・イギリスのストーンヘンジでは、太陽崇拝の儀式が行われる。
・ドイツでは、焚き火を囲んで踊り、夏の到来を祝う。
・ギリシャでは、かがり火を焚き、健康を願う。
・北欧では、白夜の下で踊り明かすミッドサマー祭りが盛大に行われる。
・ブラジルでは、冬至祭りが開催され、盛大なパレードや音楽が楽しまれる。
このように、夏至の祝い方は国や地域によって様々です。それぞれの祭りの詳細については、以下で詳しくご紹介します。
イギリスの夏至祭り
ストーンヘンジで行われるイギリスの夏至祭りは有名です。
ストーンヘンジは、夏至の日に太陽が特定の石を照らすように設計された古代の遺跡であり、多くの人々が日の出を見るために集まります。
<イギリス夏至祭りの特徴>
・ドルイド教の儀式
・音楽演奏
・ダンス
・ピクニック
人々は、日の出を待ちながら歌ったり踊ったり、ピクニックを楽しんだりして、夏至の到来を祝います。 ストーンヘンジでの夏至祭りは、古代からの伝統を受け継ぐ、神秘的で活気あふれるイベントです。
ドイツの夏至祭り
ドイツの夏至祭りは、夏至の時期を祝う伝統的なお祭りです。
この祭りは、キリスト教以前のゲルマン民族の祭りが起源と考えられており、夏の到来を祝うとともに、太陽の力を称える意味合いがあります。
<ドイツ夏至祭りの特徴>
・焚き火
・ダンス
・伝統衣装
・食事や飲み物
・音楽演奏
これらの要素が組み合わさり、地域によって様々な特色のある祭りが行われます。焚き火は悪霊を払い、豊穣を祈願する意味があり、人々は火の周りで歌い踊り、夏の到来を喜びます。伝統的な衣装を身につけたり、地域特産の食事や飲み物を楽しむことも、祭りの重要な要素です。音楽演奏も盛んで、伝統的な音楽から現代的な音楽まで、様々なジャンルの音楽が演奏されます。
これらの要素が組み合わさり、ドイツ各地で個性豊かな夏至祭りが開催され、地域の人々にとって大切な夏のイベントとなっています。
ギリシャの夏至祭り
ギリシャの夏至祭りは、浄化と豊穣を祈る火祭りです。
古代ギリシャでは、夏至は太陽神アポロンを祀る重要な日でした。現在でも、その名残として各地でかがり火を焚き、火の周りを踊る習慣が残っています。
<ギリシャの夏至祭りの特徴>
・浄化の炎
・豊穣の祈り
・伝統舞踊
・地域色豊かな祭り
・若者の参加
火は太陽の象徴であり、人々の心身を清め、悪霊を追い払う力があると信じられています。祭りの夜には、かがり火を囲んで伝統的な音楽が演奏され、人々は歌い踊りながら夏の到来を祝います。地域によっては、独自の風習や儀式が受け継がれており、観光客も参加できる祭りも存在します。
スウェーデンの夏至祭り
スウェーデンの夏至祭は、生命の再生と自然の力を祝う重要な行事です。
夏至祭は、一年で最も昼が長い日を祝うお祭りで、スウェーデンでは「ミッドサマー」と呼ばれ、家族や友人と集まり、伝統的な歌や踊りを楽しみます。
夏至祭は、一年で最も昼が長い日を祝うお祭りで、スウェーデンでは「ミッドサマー」と呼ばれ、家族や友人と集まり、伝統的な歌や踊りを楽しみます。
<スウェーデン夏至祭の特徴>
・伝統的な衣装
・歌と踊り
・花で飾られた柱
・歌と踊り
・花で飾られた柱
これらの要素が組み合わさり、スウェーデンの夏至祭は特別なものとなります。花で飾られた柱を囲んで踊ったり、伝統的な衣装を身につけたりすることで、自然との繋がりを深めます。
スウェーデンの人々にとって、夏至祭は自然と調和し、共同体を祝う大切な機会なのです。
スウェーデンの人々にとって、夏至祭は自然と調和し、共同体を祝う大切な機会なのです。
フィンランドの夏至祭り
フィンランドの夏至祭りは、ユハンヌス(Juhannus)と呼ばれ、一年で最も重要な祝日の一つです。
ユハンヌスでは、人々は自然の中で過ごし、夏の到来を祝います。
<ユハンヌスの特徴>
・コッコ(かがり火)を焚く
・サウナを楽しむ
・白樺の飾りを作る
・真夜中の太陽を浴びる
・伝統的な踊りを踊る
これらの活動を通して、人々は夏の恵みに感謝し、自然とのつながりを深めます。ユハンヌスは、フィンランド人にとって、家族や友人と共に過ごし、心身をリフレッシュする大切な機会なのです。
ポーランドの夏至祭り
ポーランドの夏至祭りは、聖ヨハネ祭(Noc Świętojańska)として知られ、愛、豊穣、浄化を祝うお祭りです。
この祭りの中心となるのは火と水です。火は太陽の力を象徴し、悪霊を追い払うと信じられています。人々はかがり火を焚き、その周りで踊り、歌い、火を飛び越えることで清めます。水は浄化の象徴であり、若い女性は花輪を川に流し、恋の行方を占います。
<ポーランド夏至祭の特徴>
・巨大なかがり火
・歌と踊り
・花輪流し
・恋占い
・ハーブ収集
これらの要素は、自然の恵みに感謝し、来る夏の豊穣を祈る意味が込められています。
ポーランドの夏至祭りは、古代からの伝統を受け継ぎながら、現代でも人々が集い、自然と一体になる大切な機会となっています。
その他ヨーロッパ諸国の夏至祭り
夏至祭りは、地域によって特色豊かな祝い方があります。
地域によって多様な文化と伝統が反映されています。
<ヨーロッパの夏至祭り>
・キャンプファイヤー
・伝統的な踊り
・民族衣装
・聖ヨハネ祭
・収穫祈願
これらの祭りは、キリスト教の聖ヨハネ祭と融合し、宗教的な意味合いも持ちます。また、火を焚いて悪霊を追い払うという伝統や、豊穣を願う踊りなど、地域ごとの独自の風習が色濃く残っています。民族衣装を身につけ、伝統的な音楽を奏でることで、地域文化の継承にも貢献しています。
ヨーロッパ各地の夏至祭りは、多様な文化と伝統が融合した、魅力的なイベントです。
ブラジルの冬至祭り(日本の夏至の日)
ブラジルでは、日本の夏至の頃に冬至祭りが開催されます。
冬至祭は、収穫を祝い、豊穣を祈願する重要なイベントです。
<ブラジル冬至祭の特徴>
・焚火を囲む
・伝統的な踊り
・郷土料理を食す
これらの要素が組み合わさり、地域コミュニティの絆を深めます。
冬至祭は、ブラジルの農村部を中心に各地で開催され、地域ごとに独自の文化や伝統が色濃く反映されています。祭りの期間中は、音楽やダンス、ゲームなどが繰り広げられ、人々は夜通しお祝いをします。ブラジルの冬至祭は、単なる収穫祭ではなく、自然への感謝と共同体の結束を象徴する重要な文化行事なのです。
まとめ

夏至は、単なる天文現象ではなく、日本の文化や風習と深く結びついた特別な日です。太陽の恵みに感謝し、健康を願う日として、今も大切にされています。
そのため、日本各地には、夏至の頃に行われる独自の風習が残っています。例えば、神社での夏越の祓や、特定の食べ物を食べる習慣などがあります。これらの風習は、地域の人々の生活に根ざし、代々受け継がれてきた大切な文化です。