今の観光市場は「どこへ行くか」だけでなく、「どう泊まるか」「何を体験するか」が問われる時代へと大きく変化しつつあると言えるでしょう。
本記事では、最新の統計データをもとに2025年の国内旅行市場の全体像を解説し、宿泊スタイルの変化が示すトレンドを読み解きます。
<目次>
2025年の観光需要は過去最高水準へ|国内旅行市場と宿泊ニーズの変化を解説
・2025年の観光需要|国内旅行市場の全体像
・宿泊旅行の実態|同行者・宿泊先・旅行形態のデータが示すもの
・TRIPTOデータで見る貸別荘需要の変化【独自調査】
・観光需要が後押しする宿泊スタイルの変化|貸別荘という選択肢
・まとめ|2025年の観光需要が示す展望
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zentai2025年の観光需要|国内旅行市場の全体像
消費額・旅行者数・旅行単価の3つの指標を重ね合わせると、「人数より質(単価)が伸びている」という構造的な変化が浮かび上がります。ここでは国内旅行市場の最新の全体像を3点に絞って整理します。
要約
✅ 国内旅行消費額26兆7,845億円と過去最高圏へ
✅ 旅行者数(前年比+2.4%)より旅行単価(前年比+3.9%)の伸びが大きい
✅ 宿泊旅行が消費額全体の81%をけん引
日本人国内旅行消費額の推移
コロナ禍の2020年に消費額は9兆9,741億円(前年比▲54.5%)と激減し、2021年も9兆1,783億円(前年比▲8.0%)と低迷。しかし2022年から急回復し、17兆1,609億円(前年比+87.0%)、2023年に21兆9,101億円(前年比+27.7%)、2024年に25兆1,536億円(前年比+14.8%)と、わずか3年でコロナ禍前の水準を回復・超過しました。
2025年にここまで消費額が伸びた背景には、物価上昇による名目単価の上昇だけでなく、「旅行の質に対してお金をかける」という旅行者の行動変容も指摘できます。
この点は、次項で示す旅行単価の推移データがより具体的に裏付けています。
出典:観光庁「旅行・観光消費動向調査」2025年年間値(確報)2026年4月30日公表
旅行者数と旅行単価の変化
一方、1人1回当たりの旅行単価は48,424円(前年比+3.9%)と、旅行者数の伸び率(前年比+2.4%)を上回り、「旅行する人が増えた以上に、1回当たりの旅行にかけるお金が増えた」ことを示しています。
注目したいのは、宿泊旅行に絞った旅行単価が72,412円(前年比+4.4%)に達している点です。前年から4.4%上昇している点に注目すると、宿泊旅行における高付加価値志向が高まっていると推察できます。
出典:観光庁「旅行・観光消費動向調査」2025年年間値(確報)図表3・図表4
宿泊旅行と日帰り旅行の消費内訳
宿泊旅行の伸び率(前年比+6.8%)が日帰り旅行(前年比+5.0%)を大きく上回っており、消費額全体(26兆7,845億円)に占める宿泊旅行の割合は81.1%に達しています。コロナ禍以降、旅行機会を厳選するなかで「どうせ行くなら泊まりで」という意識が定着したと考えられます。
また、人手不足や物価上昇を受けて宿泊料金が上昇していることも、消費額を押し上げる要因となっています。
出典:観光庁「旅行・観光消費動向調査」2025年年間値(確報)図表2
国内旅行での旅行消費額は36.2兆円(日本人+訪日外国人)
内訳は日本人による国内旅行(宿泊+日帰り)が26.8兆円(71.2%)、訪日外国人旅行が9.5兆円(25.1%)です。
次章では、日本人の国内宿泊旅行21.7兆円を動かしている旅行者の実態、「誰と行くのか、どこに泊まるのか」をデータで掘り下げます。
出典:観光庁「旅行・観光消費動向調査」2025年年間値(確報)参考「2025年の旅行消費額について」
jittai宿泊旅行の実態|同行者・宿泊先・旅行形態のデータが示すもの
観光庁「旅行・観光消費動向調査」2025年年間集計表(確報)の第4表から、同行者・宿泊施設・旅行形態の3つのレンズで実態を読み解きます。
✅ 宿泊旅行の9割超が個人旅行!旅程・宿泊先を自分で選ぶスタイルが主流
✅ 同行者の61.3%を家族・パートナーが占める
✅ 宿泊施設はホテルが58.2%を占める一方、ペンション・貸別荘・民泊などの選択肢も
宿泊旅行の9割超が個人旅行|パック・団体離れが進む背景
かつてのパッケージツアー全盛期と比べると、旅行スタイルは大きく変化しました。その背景には、旅行比較サイトや宿泊予約プラットフォームの普及で、個人でも最適な宿を選び、自由な旅程を組みやすくなったことが挙げられるでしょう。
「パックで一括」ではなく「宿・交通・体験を自分で組む」旅行者が主流となった今、宿泊施設には「ウェブ検索で見つけてもらえる」「自分たちのペースで過ごせる」という価値が求められています。
出典:観光庁「旅行・観光消費動向調査」2025年年間集計表(確報)
宿泊旅行者の過半数を「家族・パートナー」が占める
家族・親族や夫婦・パートナーとの旅行が過半数を占めることを踏まえると、宿選びにおいても「全員が同じ空間でくつろげるか」「プライバシーが確保されているか」といった視点が重視されやすいと考えられます。
出典:観光庁「旅行・観光消費動向調査」2025年年間集計表(確報)
ホテルが約6割を占める現状|非ホテル系宿泊の需要とその背景
一方、ペンション・民宿・貸別荘は2.3%、民泊(有料の住宅宿泊)0.7%、車中泊1.6%と、非ホテル系の宿泊形態も着実に市場に存在します。
ホテルが約6割を占める一方で、非ホテル系の宿泊形態も一定の割合で利用されています。
さらに、旅行単価が前年から上昇するなかで、宿泊先に求める価値は多様化しており、「どこに泊まるか」が旅の満足度を左右する要素として旅行者に強く意識されるようになっています。次章で取り上げる検索行動の変化は、その意識変化の一端を示しています。
出典:観光庁「旅行・観光消費動向調査」2025年年間集計表(確報)
dokujiTRIPTOデータで見る貸別荘需要の変化【独自調査】
ここでは2024年、2025年の検索トレンドを比較し、貸別荘を選ぶ旅行者の行動変容を読み解きます。
✅ 年間の総検索数が2024年比で約3.6倍に増加、市場の拡大が数値に表れている
✅ 検索行動が「エリア」から「体験・条件」へ変化
✅ バーベキュー・ペットOK・大人数OKなど「体験」「グループ」「こだわり」の3軸が検索の主力に
検索数が伸びた人気条件ランキング
2024年は「南関東」「北関東」などエリア条件が上位を独占していましたが、2025年には「バーベキュー」(2024年7位→2025年1位)、「大人数OK」(2024年18位→2025年3位)、「サウナ」(2025年新たにTOP10入り)といった体験・条件系のキーワードが急上昇しています。
これは「どこに行くか」を先に決めてから探すスタイルから、「何をしたいか」から宿を選ぶスタイルへの、検索行動の質的転換として解釈できます。
人気エリアの傾向
例えば「千葉-バーベキュー」(5,355件)のように、「どこで×何をするか」を掛け合わせた複合検索の伸びが顕著です。
2025年に単体エリア検索で上位に入っているのは千葉(12,540件)・静岡(6,700件)・山梨(4,687件)。
これらは首都圏・中部圏からのアクセスがよく、バーベキューや自然体験と相性がよいエリアであり、「体験×距離感」の視点で選ばれていると考えられます。
検索条件から見る旅行者ニーズの3つの変化
体験志向
バーベキュー(32,789件)、サウナ(13,580件)、グランピング(8,204件)、焚き火(3,482件)など「現地で何かを体験する」ことを起点に宿を選ぶ行動が増加
グループ志向
大人数OK(26,751件)、お子さま歓迎(6,632件)など、複数人・家族グループで過ごすことを前提にした検索が増加。観光庁データの「家族・カップルが宿泊旅行者の57%超」という実態とも一致
こだわり志向
ペットOK(32,205件)、露天風呂(3,280件)、ログハウス(2,779件)、薪ストーブ・暖炉(830件)など、自分たちだけの特別な空間・設備への強いこだわりを示す検索が増加
一棟貸切などのプライベート空間で、自分たちのペースでバーベキューやサウナを楽しめる貸別荘というスタイルが、まさにこれらの検索の「答え」として機能していくのではないでしょうか。
style観光需要が後押しする宿泊スタイルの変化|貸別荘という選択肢
旅行単価は上昇し、家族・グループが主役となり、個人が自由に宿を選ぶ。この3つのトレンドが重なる先に、「貸別荘」という宿泊スタイルの需要拡大があります。
✅ 宿泊旅行単価の上昇から高付加価値を求める傾向がうかがえる
✅ 個人旅行×家族・グループ需要が貸別荘の強みと合致
✅ 体験・こだわりで宿を選ぶ行動変容が加速中
旅行単価上昇と「体験の質」への期待
同じ7万円を使うなら、「ホテルの狭い部屋に2泊」より「広い一棟をグループで貸し切り、バーベキューも温泉も楽しめる1泊」を選ぶ、そうした判断軸の変化が、旅行単価上昇の一部を構成していると考えられます。
出典:観光庁「旅行・観光消費動向調査」2025年年間値(確報)図表4
個人旅行×家族・グループのニーズに貸別荘が最適な理由
ここで注目したいのは、観光庁データとの対比です。観光庁データの宿泊旅行全体では夫婦・パートナーが20.1%を占めているのに対し、貸別荘利用者ではカップルがわずか3.1%にとどまっています。
一方、家族(31.8%)+複数家族(27.4%)の合計は59.2%、友人・知人(35.9%)を加えたグループ利用は95.1%に達します。
観光庁データで示した「個人旅行93.1%」という文脈と組み合わせると、「自分たちで自由に宿を選び(個人旅行)」「複数人のグループで(同行者)」「プライベートな一棟を貸し切って過ごす」というニーズが、貸別荘という形態に集約していることがわかります。
出典:TRIPTOユーザーアンケート独自集計(集計期間:2025年4月1日~2026年4月27日)
観光需要データが示す旅行スタイルの展望
旅行者数の伸び(前年比+2.4%)より旅行単価の伸び(前年比+3.9%)が大きく、宿泊旅行の消費額(前年比+6.8%)が日帰り(前年比+5.0%)を上回っています。
この流れのなかで、旅行者は「特別な体験ができる宿」を探すようになっています。
その探し方も変わりつつあり、「エリアで探す」から「体験・条件で探す」へという行動変容がTRIPTOの検索データに表れていました。貸別荘という宿泊スタイルは、こうした変化の「受け皿」として機能していくでしょう。
市場全体の拡大に加え、検索行動と宿泊ニーズの両面で変化が進むなかで、貸別荘への需要はさらに広がっていくとみられます。
出典:観光庁「旅行・観光消費動向調査」2025年年間値(確報)図表2〜4
matomeまとめ|2025年の観光需要が示す展望
消費額:26兆7,845億円(前年比+6.5%)
日本人国内旅行消費額は過去最高圏に達し、宿泊旅行が81.1%を占める
旅行者数:5億5,313万人(前年比+2.4%)
旅行者数は堅実な回復基調にあるが、伸び率は単価の伸びより低い
旅行単価:48,424円(前年比+3.9%)/宿泊旅行単価72,412円(前年比+4.4%)
「どれだけ旅行するか」より「どんな旅行をするか」にお金をかける時代へ
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